Concept
Concept
ぼくらがアートや!
わたしたちをぐるりと囲む四角い社会は、狭く固く、無機質なものになってはいないでしょうか?
「四角でなくてさ、絵の具が滲んだみたいにじわっと境界がなかったら?」「ぐにゃぐにゃと変幻自在なものやったら?そうそうスライムみたいな」
アート制作を通してこどもたちと対話する。
そこでイメージされる社会は明るく、個性に富み、平和で誰にも優しい。そしておもしろい事がどんどん発展していくクリエイティブで創造力ある社会です。
誰もが同じではない
こどもたちは描きます。自分だけの美しい色を使い、自然界に生きる生物や、ナゾの生物、妖怪でも恐竜でも。好奇心の中では現実も空想も共存し生命を宿します。そしてその世界の中心でこどもは生きています。
それぞれの見えている世界はなんて多様で、ユニークで、美しいものなのか。彼らのアートが強烈に示します。「誰もが同じではない」という至極当たり前のこと。
いのちが生まれてきたよ
制作でわたしがよく言う言葉「ほら、画面をよく見て。いのちが生まれてきたよ。今、見逃さないで」
びちゃりと滲んだ絵の具の模様から、ごってり盛られた絵筆の跡から、偶然折り重なった形から、まるで描いてくれよとばかりにムクムクと、イメージが次々と浮かび上がる。
わたしたちはそれを「いのち」と呼びます。
こどもと共に描くと言う事は、赤色はただ赤ではなく、一本の線はただ線ではない。
目の前で自由に飛び跳ね、動き出し、リズムを刻む。その瞬間を捕える。いつも新しくて、ハラハラとする。
わたし自身がそれを損わせてしまわぬよう、細心の注意を払い「アート」として昇華させます。
そうして生み出された作品は、完成した後も「いのち」がうごめきます。
窓から注がれる日差しによって、観るものの気分によって。表情が一刻一刻と変化するこの「生」のアートは、まっすぐにエネルギーを発し、美しく、自由です。常に新しい発見をもたらしてくれる、そんなアートです。